妻に伝えた退職の決意

29年間続けた公務員という安定した職を辞める決心を固めた時、最初にその思いを伝える必要があると感じ、気持ちを共有したいと思ったのは、結婚してから23年間共に歩んできた妻でした。ただ、妻へ早期退職を伝えることは想像以上に勇気がいることでした。

ここ2~3年、仕事に対するモチベーションの低下や将来に対する不安感を妻とは何度か話し合っていました。妻も私の気持ちに理解してくれていましたが、それでも実際に「退職を決めた」という言葉を口にする瞬間は、心の奥底で大きなためらいがありました。安定の代表格とされる公務員の職を離れることの不安、田舎ならではの世間体、そして次の仕事がまだ決まっていない現実。男性とは違い、女性として、妻として、大きな不安があるのではないかと想像し、これら全てが心の重荷になり、決心を伝える作業は想像以上に勇気がいりました。実際に決心から伝える日まで数日を要しました。

それでも、私にとって最初に理解を求めたい人は妻でした。3月のある日、普段の会話の流れで、これまでの悩み、考え、そして最終的な決断に至るまでの心境を全て正直に彼女に伝えました。そして、もし彼女がこの退職に強く反対するのであれば、もう一度考え直すことも付け加えました。

妻の反応は、私の不安を一掃するものでした。「辞めると決心したなら、辞めればいいよ。消防の仕事にこだわる必要はないし、夫が毎日を不満足に過ごすことが一番嫌だ。本当にやりたいことを見つけて、それに挑戦してみればいいよ」とのこと。強く否定されることはないと思っていましたが、まさかここまでの反応とは思ってもみませんでした。私は深い安堵と共に、妻の言葉には強い信頼を感じました。私が毎日を満たされずに過ごすことを彼女自身も不満に思い、新しい挑戦に対する支援を選んでくれたのです。妻は私が思っている以上に私を理解し、私の立場になって考えてくれていることが嬉しかったです。

こうして妻に退職を伝えたことは、単純に早期退職の気持ちを伝え、納得してもらうだけでなく、妻の反応によって絆や気持ちのつながり、共に生きていく覚悟の強さを強く感じることができました。そして、自分を信じてくれる人がいることの大切さ、そしてその信頼に応えることの重要性を改めて学びました。

妻への退職報告は、ただの会話以上のものでした。退職後の人生は未知数ですが、妻とともに新たな道を模索していくことに大きな意味があると感じています。自分を信じてくれる妻と共に、今度は彼女の人生をより豊かにしたい。改めてそう感じ、これからもお互いを信じ、支え合いながら、共に成長していくことを楽しみにしています。

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