早期退職や転職が増えているというニュースを耳にしました。日本では定年まで一つの職場で勤め上げる美学が根強く残っていると感じていましたし、自分の周りでも退職や転職をした知人はいなかったので、どこか遠くの話だと思っていました。しかし、自分が早期退職を決心し職場の仲間に伝えた時の反応を思い出します。退職を伝えると「なぜ」と理由を聞く人と同じくらい「いいな」と反応する仲間が多かったのです。具体的に退職や転職を考えている人はいませんでしたが、辞めたいと思っている人がこれほど多くいることに驚きました。
金銭的な理由と転職の難しさ
退職したい理由を尋ねると、仕事内容や勤務環境、給与や人間関係など様々な内容が挙げられました。しかし、実際に退職や転職ができないのは、ほとんどの理由が金銭的な問題でした。私の職場では、結婚して二、三年もすると自宅を新築する人が多く、その多くの人が多額の住宅ローンを抱えています。仲の良かった後輩も、結婚した翌年に住宅を新築し、3500万円の住宅ローンを始めました。返済期間は40年だと苦笑いしながら話してくれました。似たような後輩や同僚が多く、日々の生活費の他に巨額のローンが足かせになって環境を変えられない人が多いのです。
巨額の住宅ローンと人生設計
住宅の新築費用は都会に比べると安いかもしれませんが、それでも3500万円のローンは正直驚きます。
40年の返済期間はあまりにも長く、ピンときません。40年後にその住宅の価値はいくらになっているのでしょうか。僕の同年代の同僚も似たケースで家を建てましたが、子供が進学や自立で自宅を離れると、頑張って建てた大きな家も使わない部屋ばかりになり、小さな平屋が欲しいと言い出し始めていました。これがまた悲しさとかむなしさを感じます。
早期退職を可能にした理由
僕の場合、結婚するタイミングでそれまでの住宅を一部リフォームし、子供が生まれて手狭になった頃に家を建てようと考えていました。残念ながら子供ができなかったので、今でもその場所に住み続けていますが、夫婦二人なので全く不満なく生活ができています。新しい家に憧れを感じることもありましたが、巨額の住宅ローンを抱える気にはなれませんでした。その結果、50歳までにある程度の貯金ができ、早期退職という選択肢を取ることができました。
若者へのアドバイスと選択肢の重要性
若い後輩たちには、巨額の住宅ローンを抱えて返済のために一心不乱に働く前に、もっと選択肢があってもよいと今更ながら思います。アパートが手狭なら借家や中古物件を探すのも一つの手です。子供が巣立つまでの数年間は子供部屋や多くのスペースが必要ですが、その期間が終われば多くの部屋は不要になるかもしれません。巨額のローンが未来の選択肢を無くしていると感じる一方で、結婚して子供が生まれ新しい家族がどんどん増える若い頃は、夫として親としてアドレナリンが出ている状態なので、そんな考えになるのは難しいのかもしれません。
早期退職と転職の新しい価値観
早期退職や転職が増えているというニュースは、私の前の職場の若者たちには当てはまらないような気がします。僕自身は、1つの職場を勤め上げることの美学に異議はありませんが、長い人生の中でいくつかの仕事にチャレンジしてみることも素晴らしいことだと思います。僕は早期退職してまだ何も実績がないので断言はできませんが、選択肢がいくつもあり、なんでもチャレンジできる、時間を自由に使える今に幸せを感じています。前の職場の若者たちのように、金銭的理由が選択肢を狭めないように、若い職員が金銭管理や人生設計について学ぶ機会や環境が整うと良いと感じています。
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