早期退職を決意した当初は、少し休んだ後に新しい仕事を見つけ、また毎日、仕事に打ち込む自分を想像していました。しかし、実際に退職し、自由な時間を過ごすうちに、趣味や家族との時間が自分にとって心地よく、また非常に大切なものであることに気付きました。そこで、サイドFIREという選択肢もありかもしれないと感じ調べると、自分と同じくらいの資産でサイドfireされている方や、もう少し少ない資産でされている方もおり、今の自分の資産でも可能であることに気付きました。この記事では、よりリアルにサイドFIRE後の生活を想像するために、現在の資産を取り崩す三つのケースをシミュレーションし、その生活を考えてみました。
シミュレーションの前提条件
資産6千万円の運用
現在の投資資産はオルカンとS&P500で約5,500万円ですが、シミュレーションのために6,000万円を基準にしました。
取り崩し額の設定
投資資産6,000万円を運用しながら、年間180万円(3%)、240万円(4%)、360万円(6%)の取り崩し額でシミュレーションを行います。資産の取り崩しの際は、定率での取り崩しと定額での取り崩しの選択がありますが、今回は生活費への補填が分かりやすい定額での取り崩しをします。資産の取り崩しの際に資産が長く残るとされる4%(年240万円)、更に安心な3%(年180万円)、現在の生活費に近い6%(360万円)の3パターンを設定します。
シミュレーションの期間と目的
シミュレーションの期間は、僕が50歳から64歳までの15年間とします。S&P500の実績と円ドル為替データは、2000年から2014年までのデータを使用しました。2000年から2014年はITバブルの崩壊やリーマンショック、円高など、米国株インデックス投資にとって厳しい期間でした。この期間のデータを使用することで、資産運用が厳しい状況でのシミュレーションが可能となります。また、65歳以降は年金の受給が始まりますが、65歳時点での資産残高も重要であり、年金と投資資産の取り崩しでその後の生活を支える計画です。
各シミュレーションの結果
シナリオ1:年間180万円の取り崩し
このシナリオでは、生活費の360万円の半分を補填するケースです。不足分の180万円、月15万円をバイトや短期の仕事で稼ぐことになります。時給1,200円だと週に約35時間働く必要があり、フルタイムに近い労働が求められます。15年後の資産は約6,800万円と十分に残りますが、65歳以降も運用を続けることを考えると、使い切れないほどの資産が残る可能性が高く、年を取ってからの大金の保有に意味があるのかという疑問が生まれます。
シナリオ2:年間240万円の取り崩し
このシナリオでは、生活費360万円のうち240万円を補填し、不足分は120万円です。月10万円の不足分は週に約20時間のバイトで補填できる計算です。時給1,200円で週3~4回の労働が必要です。
15年後の資産は約4,800万円と、余裕を持った額が残ります。
シナリオ3:年間360万円の取り崩し
このシナリオでは、生活費全額を投資資産の取り崩しで賄います。労働から解放されるメリットがありますが、15年後の資産は約800万円と少なく、老後資金としては非常に不安が残ります。
比較と考察
3つのシナリオの比較
3つのシナリオを比較すると、それぞれに一長一短があることが分かります。年間180万円の取り崩しでは、生活費の不足分を補填するためにフルタイムに近い労働が必要になり、自由な時間や家族との時間を確保するのが難しくなります。一方、年間240万円の取り崩しでは、週3~4回のバイトで不足分を補うことができ、自由な時間を保ちながらも適度に働ける現実的な選択肢です。年間360万円の取り崩しは、労働から完全に解放される一方で、65歳時点での資産が少なすぎるため老後の不安が大きく残ります。また、いずれのケースも2008年のリーマンショックで大きく資産額が落ち込んでいます。精神的にこの落ち込みに耐えることができるのか、更に年間360万円の取り崩しを行うケースでは、それまでに資産がかなり減っているのでリーマンショック後に回復がしないことも懸念材料です。
結論
240万円を取り崩すケースが現実的
年間240万円の取り崩しが最も現実的でバランスの取れた選択肢です。月に10万円の不足分を補填するために、週3~4回のバイト行ったとしても、週に20時間程度の時間であれば自由な時間も確保できます。また、15年後に4,800万円の資産が残るのは安心です。65歳以降も運用を続け年金と調整しながら取り崩していくことで十分な生活費を確保できると思います。
将来の見通しと柔軟性
今回のシミュレーションは、過去のデータに基づいており、将来の結果がどうなるかは未知数です。特に、今後の経済状況が悪化した場合には、シミュレーション以上に厳しい結果になる可能性もあります。しかし、逆に経済成長が続けば、資産が予想以上に増えることもあり得ます。その場合は取り崩し額を調整することで、より豊かな生活が実現できるかもしれません。
今回のシュミレーションで資産6000万円でも色々な形でサイドfireできることがイメージできました。将来の安心のために取り崩し額を抑えた方が良いのか、50代の時間を優先し大きく取り崩した方が良いのか、悩ましいところですが、今の自分は年240万円を取り崩すケースがベストです。実際には他の要因があり思いとおりに行かないとは思いますが、サイドfireすることが最終目的にならないように、豊かな人生を求めて柔軟に対応していくことが大切です。
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